ムギ:あれ?田んぼの横にある棒をいじってるよ
デン:ほんとだ、棒をいじってる
ヨンマル:あれは【暗渠(あんきょ)】を開けてるんだね
ムギ:あんきょ?
デン:なにそれ?おいしいの?
ヨンマル:食べ物じゃないよ。この時期に暗渠を開けるってことは【土用干し(どようぼし)】だね。
ムギ:どようぼし?
デン:おいしそう。。。
ヨンマル:(笑)今日は【土用干し】を解説するね
土用干しとはなんなの?

[種まきから80日頃]2021年7月31日、岡本農産では土用干しを行いました。土用干しとは、田んぼの水を抜いて約7日間土を乾かす作業になります。「中干し」とも言われるそうなのですが、うちの地域では昔から土用干しと呼ばれています。夏の土用(7月20日頃から立秋の前日までの一年中で最も暑い時期)に行うことから親しみを込めて”土用干し”と呼びます。
土用干ししたらどうなるの?

- 稲の根っこが強くなる
- 酸素を与え、土の中の有害なガスを抜く
- 過剰な分けつを抑える
- 土が固くなり、その後の農作業の効率を高める
①稲の根っこが強くなる
田んぼの水を抜いて、約7日間土を乾かすと土の表面がひび割れてきます。と同時に、稲の根っこが切られて傷みます。土用干しが終わり田んぼに水が入ると、稲は傷んだ根っこを修復しようとして根をしっかり張ろうと頑張ります。結果、傷んだ根っこは前にも増してより強くなります。
②酸素を与え、土の中の有害なガスを抜く
田植えからずっと水がはられた状態なので、土壌は酸素が不足し、有害なガスが発生しやすい状態です。土用干しで土にひび割れを起こすことにより土壌に酸素を供給して、同時に有害なガスを抜いてあげることができます。
③過剰な分けつを抑える
夏の土用のこの時期は”分けつ”が大変盛んな時期です。水をはった状態だと、どんどん分けつが進み、どんどん株の数が増えます。”増えると良いんじゃない?”と思われると思いますが、そうではないんです。増えすぎた株たちには十分な栄養が行き届きません。十分な栄養が行き届かないから稲の実(お米)が成熟しないんです。この過剰な分けつのことを【無効分けつ】と呼びます。土用干しをすることで、土を乾かし、この過剰な分けつ【無効分けつ】を抑えこみます。
④土が固くなり、その後の農作業の効率を高める
ひび割れるくらい乾かされた田んぼの土は固くなります。この時期に土を固くするだけで、この後の農作業が飛躍的に効率がよくなります。人が田んぼに入ってする作業(草取り、予防、追肥)では、田んぼの中が”歩きやすい”ことが人の負担をとても軽くします。農業機械が田んぼに入ってする作業(コンバインでの刈取)では、重量約5tのコンバインが田んぼの中に入って作業します。刈取を行い、籾(もみ)を抱えたコンバインの重量は約6.5tにもなります。このコンバインが入ってポテンシャルを最大限に発揮するためには、なるべく土が固いことが必須条件です。この時期の土用干しは2ヶ月後の”6.5tのコンバインで作業することを見据えた”重要な役割を担っています。

土用干しの手順
1. 暗渠(あんきょ)を開ける
2. パイプラインの自動を切る + コックを閉める
3. 田んぼの土にヒビが入るまで干す [約7日間]
4. 暗渠(あんきょ)を閉める
5. パイプラインの自動を入れる + コックを開ける